パーソルキャリアの転職サービス「doda」のブランド想起率を高めるために企画した「大人のインターン」の戦略と情報クリエイティブをご紹介いたします。
2022.02.24 / Case Study
#PR事例 #戦略PR #ブランド想起 #調査PR #人材業界 #無形商材 #PRドリブン
今回は、PR業界で約12年間身を置いてきた福田からご紹介いたします。今まで色んな業界の方々と様々な課題解決をご一緒させていただきました。多業界の業務に従事しているPR agencyだからこそ、社内や業界ルールに囚われず、広い視点で物事を捉えて、企画・実装できるのが強みだと感じています。
PRをするうえで特に重要だと考えているのが、「勝ち筋の発見(=戦略)」と、その「新たな表現(=情報クリエイティブ)」です。今回はその2つがしっかり機能した事例として、パーソルキャリア様が運営する転職サービス「doda」のブランド想起率UP施策をご紹介いたします。
<差別化が難しい×ニーズの多様化×無形商材>
まず前情報として、人材業界の整理と当時の「doda」の状況を整理すると…
競合他社が多く、サービスもコモディティ化しているため差別化を図るのが難しい状況。さらに、サービスが無形商材なので価値訴求やイメージ付けが難しい業界です。
また、転職が当たり前という時代で、生活者の思考の多様化が進み、メジャーブランドとしては、どのような層を捕まえにいくべきかが非常に悩ましいコンディションだと感じました。
そんな中で当時の「doda」は、CMキャラクターの刷新を含め「20~30代を中心に“はたらく”や“転職”のわからないに応える」というリブランディングを目指しているところでした。
<新たなニーズに親身に寄り添う「大人のインターン」>
「20~30代のわからないに応える」とはどういうことなのかを、社内でディスカッションしました。
着目したのが、若者の中で【地方で働きたいというニーズ】の高まりがあったことです。多様化するニーズの中で、地方で働きたいというモチベーションのある人たちが新たなトレンドセッターになるかもしれない、という仮説を立てて、短期間地方で働く機会を作ってしまおうという「大人のインターン」を企画しました。つまり、今回における戦略と情報クリエイティブは以下の掛け合わせになります。
戦略「地方転職という新たなニーズに応える」ブランドになる
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情報クリエイティブ「大人のインターン」
転職を検討しやすい長期休みに実際に地方で仕事・プライベートの時間を過ごしてもらう体験機会を創出
企画の実現にあたっては、以下の3つのアクションがポイントになりました。
1. ニーズの顕在化、希望者と受け入れ先のギャップを伝える
まず着手したのが、“ニーズの顕在化”です。
20〜30代の地方転職のニーズや地方企業の実情を探る調査を実施しました。「大人のインターン」が、生活者・地方の受け入れ先の両方にとってWin-Winで時流に合った取り組みであることを伝える活動から進めました。その結果、デジタルメディアで100件程度の露出と、その露出に対する多数のコメントを寄せられました。企画の大義名分を作る活動だったと感じています。
タイトルなし
www.fnn.jp
2.求人倍率TOPの地方自治体と地元企業への交渉
当社でPRサポートしている地方自治体の1つが、全国で求人倍率が最も高く、さらにIターン採用を強化していることをキャッチしたことがきっかけで、市担当者→地元企業のご担当者様へのリレーションを構築し、企画に賛同いただくことができました。
余談ですが、最近は1社だけでなく、多数の企業と共創して価値を作るアクションが増えているように思います。まさに本プロジェクトも、dodaと地方企業がタッグを組むことで、地方で働きたい若者のニーズに応えつつ、企業の人手不足解消につなげる共創クリエイティブのカタチだと思います。
3.「大人のインターン」を取材機会に
実際に都心に住みながらも地方転職に興味がある女性を「大人のインターン」に招待し、お盆シーズンの3日間、地元のご協力企業様での仕事体験ができる機会を用意しました。
体験の様子を在京メディアに取材してもらうことで、Iターン希望者に情報を届ける活動も強化。在京キー局含めた2番組でOAされ、さらにはその報道をきっかけにSNS上で議論が起こり、ポジティブな論調を生み出すことにつながりました。
共感される情報作りの先にあるもの
今回の取り組みが報道された後のSNSのコメントが印象的でした。「大人のインターン」というコンセプトにポジティブな意見をたくさんいただけたことと、働く側と受け入れ側の両方の視点で議論が行われたことは、共感を得られたと手応えを感じています。
「勝ち筋の発見(=戦略)」×「新しい表現(=情報クリエイティブ)」がうまく機能することで、情報が自走し、議論が巻き起こる。
コアになる価値を決めて点ではなく線として連続的な価値発信ができると、PRドリブンで期待したようなイメージ醸成につながると考えています
※コロナ禍でますます地方転職はニーズが高まっていますが、本施策はコロナ禍前に実施したものです。
株式会社プラチナム
第2コンサルティング局 局次長 福田
メディアプロモートを経験後、コンサルティング業務に移行し様々な企業のマーケティングPRをサポ―ト。国内・外資企業の様々な業界のPR業務に従事。企画プランニング・進行ディレクションを行う。
競合の垣根を超えた大型の店頭連動企画や、世の中にマッチしたワードを軸としたPRドリブンな“売りにつながる”PRを得意とする。また、独自のKOL・インフルエンサーネットワークを構築しており、課題に対して最適な人材提案も可能。