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ユニリーバのスキンケアブランド「ヴァセリン」による「ヴァセリン・ヒーリング・プロジェクト」は、ブランドの「全ての肌を癒し健康に、全ての人が積極的に人生を楽しめるように」というパーパス(目的・存在意義のこと)のもと、貧困・災害・紛争など様々な困難のため、肌の健康を維持することが難しい人々の、肌の健康を取り戻すことをサポートしたいという想いから、2015年にスタートしている取り組みです。開始以来、ヨルダンのシリア難民キャンプや、医療が届きにくいインドの農村部などへピュアスキンジェリーや医療品を届ける活動などを展開し、2020年5月時点で世界で500万人以上の方をサポートされてきました。

日本においても、2020年からプロジェクトがスタート。2年目を迎えた2021年は、「コロナ禍の最前線で働く、医療従事者・福祉事業者へヴァセリン商品を寄付すること」が決まりました。より多くの関係者・ステークホルダーを巻き込み、このプロジェクトの認知と活動の輪を広げていくにはどうしていくべきか?プラチナムを含むヴァセリンチームの挑戦が始まりました。

事実は小説より奇なり。エッセンシャルワーカーの手荒れリスクをもとにストーリーを作る。

プロジェクト発足の段階で、コロナ禍でアルコール消毒によって手荒れリスクが高まっていることは、SNS上でも度々注目されていました。実際に医療従事者へのヒアリングを行うと、現場でのアルコール消毒の機会が増え、手荒れをしている従事者が増加している実態も浮き彫りになりました。

このリアルな実態をもとに、プロジェクトのストーリーを紡ぐことで、ヴァセリンの想いをより自分たちに近く感じることができると私たちは考えました。そこで、エッセンシャルワーカーが現場で行う「アルコール消毒の平均回数」=「手荒れリスクを象徴するアイコン」と捉えて、プロジェクトの根幹となるストーリーを組み立てました。

公募キャンペーン×SNS動画 コミュニケーション

このプロジェクトは、これまでキャンペーンとしての商品提供に留まっていましたが、2021年はより医療従事者・福祉事業者と共に作り上げるプロジェクトにしようと検討し、ヴァセリンをお贈りする施設・関係者を公募するスキームをご提案しました。

また、一連のストーリーを、医療従事者・福祉事業者へ届けながらも、生活者にも共感を生み出し情報拡散を起こすために、動画とSNSでのコミュニケーションを中心に設計しました。

公募型でSNSも駆使したことで、結果として全国17都道府県の医療・介護・保育施設等、53団体から応募が寄せられ、応募先すべての団体へ商品を寄付いたしました。

製品寄付後、直接各団体から「新型コロナウイルスが猛威を振るっている中、日々緊張・疲弊している職員にとって、とてもありがたい贈りものになりました。」など、感謝のコメントもお送りいただいた他、SNSでも、ヴァセリンに対する医療・福祉従事者の方々から感謝のコメントが見受けられるなどの反響がありました。

崇高な想いを掲げたとしても、届けたい情報が届けたい相手に届くとは限りません。ブランドの想いを届けるためにどのようなストーリーを組み立て、何を象徴として表現し、どのチャネルで情報を伝播させて、どのように届けるのか。1つ1つ細やかな設計がコミュニケーションの基本であり大切なことだと改めて認識したプロジェクトでした。


株式会社プラチナム コミュニケーションデザイン局 坂井