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“新しい常識をつくりたい”

そんな想いとPRの力が掛け合わさると、大きな変化が生み出されます。今回ご紹介するのは、トイレットペーパーと同様に生理用ナプキンをトイレで当たり前に受け取れる社会をつくりたいという、株式会社ネクイノの想いから生み出された「トレルナプロジェクト」の実証実験です。まだ本ローンチ前にも関わらず、全国で多くのメディアに取り上げていただき、世の中に変化を生み出しています。

きっかけは「#しかたなくない プロジェクト」

元々ネクイノは、オンライン・ピル処方サービス「スマルナ」を主軸に医療テック領域を展開しています。また、渋谷未来デザイン、NEWPEACEとともに世の中にある“しかたない”と諦めてしまうことに声を挙げていく「しかたなくないプロジェクト」も仕掛けています。実は以前このプロジェクトをサポートしたことをきっかけに、新しいトイレの中で生理用品を受け取れるデバイス「トレルナ」の実証実験に関するご相談をいただきました。

「スマルナ」の誕生がこれまで低容量ピルを婦人科でしか買えなかった状況を一変していったことを一女性として目の当たりにしました。“生理用品を当たり前に受け取れるようにしたい”とオリエンをいただいた時、その未来を想像してワクワクしました。まさに”しかたなくない”を実践していく企業なのだなと感じました。次なるサービスは、生理用品を受け取れるサービス、それが「トレルナ(toreluna)」です。

しかし、生理用品を無料で受け取れるということは、思わぬ誤解を生むことも考えられました。“生理の貧困”という言葉はご存知でしょうか?経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいるという社会課題であり、内閣府男女共同参画局もこの課題に対して取り組んでいます。

ネクイノが目指したいのは、じつはこの生理の貧困の解決策ではなく、トイレットペーパーが公共のトイレに当たり前にあるように、ナプキンが公共のトイレに当たり前にある、新しい常識をつくっていくことです。

正しくネクイノの想いを伝えていけるよう、実証実験を行う意義を深堀り、そこに多くの人を巻き込んでいくコミュニケーションを、クリエイティブエージェンシーと共に綿密に企画してご提案しました。

全国5都市9箇所で、声を集めるプロジェクト

ご提案したのは、生理用品をトイレで無料で受け取れるデバイスを設置するアクションに対して、全国各地で声を集めていく実証実験形式の「トレルナプロジェクト」です。全国各地で実施を予定していた実証実験を、ひとつの大きなプロジェクトとして捉えなおしました。

トイレで生理用品を無料で受け取れるデバイスの設置をしていくことに対して、ポジティブな声もネガティブな声も受け入れ、どんな姿がベストかを話し合っていく姿勢を示し、より多くのステークホルダーを巻き込んでいく設計をしました。

トレルナは、商業施設などに導入してもらうことで成立するビジネスモデルです。ネクイノだけでなく、各施設の担当者がなぜ設置したいと思ったのかという想いも打ち出していくべく、施設担当者とネクイノ担当者とともに全国各地で取材会を実施。初日はイオン、その後に電鉄初となる南海電鉄でアピールの機会を設けて、担当者から施設の想いも一緒に伝え、両者の想いに丁寧に光を当てていきました。

メディアでの反響がもたらすプロジェクトへの好循環

トイレで取材会を実施するのはどの施設でも過去に例が少なく、特に南海電鉄では10分程度の撮影時間を最大限活用できるよう、チーム一丸となって奔走しました。過去に例を見ないような取材会となり、大阪では全てのテレビ局が取材に来るほど注目を集めました。

プロジェクトを通じて、賛同いただいた利用者の方々、施設の方、トレルナ担当者、3者の声が集まることで、社会課題への取り組み・変化としてニュースでも拡がっています。

活動を続けるなかで、ネクイノ担当者にも変化がありました。最初は「取材会緊張しすぎて…何を着たら良いでしょうか…?」という状況から、想定問答の練習をしたり何度も段取りの確認をするうちに、報道対応に自信がつき、それがプロジェクト自体への誇りにもつながり、プロジェクトに好循環をもたらしています。


新しい常識をつくっていくPRは、難しく、大変であり、ここで表現しきれないほどの苦労や葛藤がありました。一方通行な発信をするプロジェクトではなく、多方面の人を巻き込み声を集め発信していくコミュニケーションを設計したことで、話題づくりに加え、愛されるブランドとしての一歩を踏み出せたのではないかと思っています。トレルナの本格ローンチは2023年を予定しており、あたたかく見守っていただけますと幸いです。設置をご検討いただける企業のご担当者がいらっしゃれば、ぜひお声がけください。



株式会社プラチナム 小田切