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着眼点は、カプセル式コーヒーマシンに対する「誤解」

ドリップポッドは、UCCが開発した独自のシステムで、プロのハンドドリップの抽出メカニズムを搭載したマシンとカプセルにより、淹れ手を選ばず、ボタンひとつで本格的なコーヒーを楽しむことができます。

年々拡大・多様化する家庭用コーヒーのニーズに応える製品である一方、<ドリップポッドという製品及びカプセル式コーヒーというカテゴリに対しての認知率は未だ低いこと><カプセル式コーヒーに対し「価格が高そう」「美味しいかわからない」等の誤解されている方もいること>の2点を課題と認識していました。

カプセル式コーヒーへの先入観を取り払い、ドリップポッドで淹れたコーヒーの本格的な美味しさを純粋に味わってほしいという思いから、あえて抽出方法を「ひみつ」にして提供する体験機会を企画しました。

ドリップポッドの提供価値を詰め込んだ #バリスタのいないアイスコーヒー専門店「ひみつのドリップ」

商品プロモーションとしてポップアップを開催する場合、実際に製品をそのまま体験してもらうのが定石だと思いますが、今回は前述の通り先入観なくドリップポッドが淹れるコーヒーの美味しさを体験してもらうため、「街の裏通りに突如あらわれたアイスコーヒー専門店」という形態をとり、あえてPRしたい商材を注文後まで隠した「覆面カフェ」という挑戦をしました。店名は、抽出方法に秘密があることを示唆する「ひみつのドリップ」とし、また店舗ロゴに「?」をモチーフにしたマークをあしらうことで、視覚的にも興味をそそられるようにしています。

また、ドリップポッドの提供価値がそのまま、「ひみつのドリップ」の訴求ポイントになるように設計しました。例えば…

・まるで“バリスタ”が淹れたかのような高いクオリティのコーヒー(コーヒーを淹れる象徴である「#バリスタのいない」ギャップを店名で表現)

・豊富なカプセルラインアップと、そこからコーヒーの世界が広がること(=14種類56通りのメニュー展開)

・一杯約80円(カプセル1個の平均価格)で楽しめること(=80円というカフェとして破格の提供価格)

世の中でも珍しい「アイスコーヒー専門店」と銘打ち、アイスコーヒーだけでアレンジもふくめ56種類ものメニュー展開にするなど、PR視点での引きを考えた工夫も凝らしています。

肝心なのは“覆面”と商品訴求のバランス

「覆面カフェ」というコンセプトを実現する上では以下の2点に大変悩みました。

1点目は、ドリップポッドの訴求とのバランスです。店舗ではどの段階でどのようにしてドリップポッドであることを知ってもらうのがいいか、徹底的に議論しました。最終的には、オーダー後にドリンクに添えた「店主からの手紙」という形で種明かしをし、ドリップポッドの具体的な特徴は手紙から遷移できるLPや動画で説明。そして、店内の一番奥に設置した「ひみつの扉」の先に、実際にドリップポッドの実機を設置して試飲もできる部屋を用意しました。ストーリー性のある店舗設計で、行ってみたくなるSNS投稿・拡散にも繋がっています。

2点目は、ドリップポッドであることの情報解禁方法です。初期タイミングではドリップポッドのカフェであることを隠し、UCCの「新しい期間限定カフェ」としての期待感を醸成。KVや告知LPも含め、カフェとしての本格感が伝わるようにクリエイティブも徹底しました。メディアを含む来店者からは、大変嬉しいことに「良い意味で騙された」「秀逸」などお褒めのお言葉も多々いただきました。

結果、想定の2倍の来客数を記録

メディアだけでなく一般の方のSNS投稿も連鎖的に増えた結果、来客数は10日間で4000人以上と想定の2倍以上に。またそのうち約1,000人近くが「ひみつの扉」の先にあるドリップポッドのマシンとカプセルの試飲体験まで到達し、製品価値の理解促進にもつながる施策となりました。

プラチナムでは「ひみつのドリップ」のような、PR視点でのクリエイティブを活かしたコアアイデアで実装し、メディア、SNS、エクスペリエンス、デジタルマーケティングを駆使したマーケティングコミュニケーションを「PRドリブンIMC」と銘打ち、今最も注力して取り組んでいます。

PRコミュニケーションだけにとどまらず、ブランドが保有する価値を発掘し、更にそのひとつ上の価値に昇華させるような価値規定で、今後もパートナーとして併走していきます。



プラチナム 針谷