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プラチナム屈指の海外企業案件を担当するグローバルコミュニケーション(GC)局が心掛ける、PRにおいて大切なこと

2024年6月に【ノルウェー大使館・サモ肉】プロジェクトが、 PR Award AsiaのC22. Integrated Marketing部門にてブロンズを受賞しました。今回は、そのプロジェクト担当であるグローバルコミュニケーション局の松土さんと納さんに海外企業の国内PRの課題や、それに対する向き合い方について話を伺いました。

お互いの国の文化を理解することの大切さを実感

ー まずは、これまでに担当した海外企業案件を教えて下さい。

松土(グローバルコミュニケーション局 局長)

スポーツ配信サービス、音楽配信サービス、フードデリバリーサービスなど、今では誰もが使用するような企業の日本ローンチを担当していました。日本に限らず海外ローンチ自体が初めての企業もあれば、サービスのロゴも読み方も決まっていない状態からPR視点でコミュニケーション全体のご相談にのることもあり、支援の形もさまざまでした。

ー 日本国内でPRをする際に、クライアントが日本企業/海外企業である場合の違いは何だと思いますか。

納(グローバルコミュニケーション局 シニアマネージャー)

海外企業の場合、そもそも海外と日本では消費者の生活や文化、メディアやSNSの状況も異なるため、クライアントにまずは日本を理解していただくことから始まります。例えば、海外の食材を日本でPRする上では、海外から来日したクライアントを連れて日本のスーパーに行き、文字の多いPOPや品ぞろえの豊富さを肌で感じていただいたりしています。また、クリエイティブの1つをとっても、日本ウケと海外ウケは異なるので、小さなことでもしっかりと目線合わせをしていくことが日本国内に持ち込んでPRをするうえで大切なことだと思います。

松土

一方で、海外企業の考えや感覚に寄り添って理解するためにも、我々が海外の市場を学ぶことも非常に重要だと思います。以前、ノルウェー産シーフードのPRで、同じ食材の韓国市場でのマーケティング活動を視察しに韓国を訪れたのですが、韓国は生鮮食品でさえもECで購入することに驚きました。韓国はライブコマースをする企業が多いのですが、それも納得です。頭ごなしに決めつけるのではなく、両国の文化とやりたいことの折衷を見つけることがすごく難しいことだと思います。

私たちが求められていることは「日本でのPRをどうしたらいいのか?」なので、クライアントがまだ気づいていないインサイトを伝え、新しい価値を一緒に作り上げていくこと。弊社のミッションとしても掲げている「ONE MORE VALUE」を常に心掛けることが重要ですね。

受賞要因は「PRドリブンIMCの追求」

ー 【ノルウェー大使館・サモ肉】プロジェクトが、PR Award AsiaのC22. Integrated Marketing部門にてブロンズを受賞しました。ノルウェーサーモンは、脂の乗りが良く旨みたっぷりなタンパク源ですが、日本では寿司や刺身などの生食以外の食べられ方が想起されにくいといった課題があり、ノルウェーサーモンの魅力をより広めるため、牛肉・豚肉・鶏肉に並ぶ“第4の肉”「サモ肉」として幅広い料理で楽しむことを提案した企画とのことですが、特にこだわったポイントはどこですか。(受賞の詳細はこちらをご覧ください)

松土

部分的なPRを考えるのではなく、何年も先を見越したうえで新しい価値を創出したところです。まず押さえておくべきことは、日本に「サーモン寿司」を持ち込み、定着させたのがノルウェー大使館であるということです。今ではサーモンといえば「スライス」が当たり前となっていますが、そこに「サモ肉」というより大きなサイズのノルウェーサーモンを火を入れてお好みのレア加減で調理する食べ方を提案し、「サーモン寿司」のような新たな価値づくりができないかと思いました。

PRからデジタル、店頭までIMCの接触ポイントをかなり練ったことです。限られた予算の中で360度どのように効果的な接触ポイントを網羅できるかを常に考えていました。例えばデジタル分野だと、人気レシピアプリ上で肉料理を検索した方へ「サモ肉」の広告を表示したり、あえて「11月29日(いい肉の日)」を起点に施策を考えるなど1つ1つのポイントに拘って進めていきました。

松土

まさにPR視点でコアのアイディアをつくり、それを統合型マーケティングコミュニケーションで広める「PRドリブンIMC」ですね。①コンテンツとして「サモ肉」という価値を作ったうえで、②コネクションとして多くの方に届けるための網羅的施策を考案したという2段階です。先程お話しした「サーモン寿司誕生のきっかけは実はノルウェーの取り組み」のように、人に話したくなるようなストーリーを作ることがPRとして非常に大切だと思います。ちなみにノルウェー首相にも来日時のスーパー視察で店頭の販促をご覧いただきました。

ー ずばり、受賞理由はなんでしょうか。

松土

いろいろありますが、1つは消費者があまり認識していなかったところにアプローチをしたことです。クリエイティブを考える上で料理をする方のインサイトを調べたところ、お肉レシピに比べて魚レシピが圧倒的に少ないことに気づきました。サーモンはお肉と同じくらい調理のバリエーションがあるし、栄養価も高いので、牛・鶏・豚のレシピを全てサーモンに切り替えたら面白いのではないか?と考えたところ、良い反応を頂くことができました。

ー これからしていきたい挑戦は?

海外のモノを日本に広めるプロジェクトに携わらせていただくことが多いのですが、日本の伝統やモノづくりの魅力を海外の方に知っていただけるようなコミュニケーションももっと挑戦していきたいと思っています。海外市場を見据えて、様々なターゲットへの届け方を工夫しながら、日本の価値を海外に伝えていくなど、深く入り込んでご支援がしたいです。

松土

グローバルコミュニケーション局なので、PRで日本と世界を繋ぐ活動をどんどんやっていただきたいです。海外サービス・コンテンツの日本エントリーは初速でPRの力が発揮される部分だと思いますし、海外で日本のコンテンツを訴求しファンになっていただく方と触れるのは日本人として誇らしい部分です。あとは機会があれば… 個人的に中南米が好きなのでアマゾンを絡めたイベントだったり、世界最果ての地や宇宙でのプロモーションだったり、国を問わずPRとして話題になるタッチポイントでの施策にもチャレンジしてみたいですね。



プラチナム グローバルコミュニケーション局 松土・納